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事業承継における4つの要素と7つの視点
⑤個人の財務状況

⑤個人の財務状況(特に個人保証)

事業承継では、経営者個人と会社の関連性と経営者個人の財産分与について整理しておく必要があります。
なぜなら、経営者個人の財産の中に、会社の事業に必要な財産や保証が含まれている可能性があるためです。単純に財産を按分してしまうことで、後継者以外の相続人が株式を所有し、会社経営に横やりを入れるケースや、後継者以外の相続人に連帯保証債務がいつの間にかふりかかってしまったケースなど、結果的に会社経営に重大な問題を引き起こしかねません。

まずは、経営者ご自身の財産を整理する必要があります。経営者個人の資産の中で、大きく分けて会社に関係する財産(負債)と会社に関係しない財産(負債)を分けます。

会社に関係する財産(負債)とは、次のようなものをいいます。

  • ・会社株式
  • ・事業用不動産、経営者個人から会社への貸付金
  • ・事業の運転資金のために経営者個人で負った借入金
  • ・会社の借入金の連帯保証債務

これらの状況を確認し、後継者にはこれら会社に関係する財産全て引き継ぐ必要があります。例えば、会社株式を分散して相続してしまうと、後継者が会社の議決権を持てず会社経営が滞るリスクがあります。一方で会社に関係のない相続人が、状況を理解せずに借入金や会社の借入金に対する連帯保証債務を受けてしまう事もトラブルの原因となります。

また経営者ご自身の財産(負債)がどういった状況なのか、仮に贈与・相続が発生した場合に、いくら税金を納付する必要があるのかについても把握しておきましょう。

次に、経営者ご自身に万が一のことがあった場合のために、財産分与について考えておく必要があります。
基本的には事前に後継者に事業用資産を生前贈与し、その他の財産は他の法定相続人を中心に相続または贈与することが望ましいですが、この場合、後継者の承継した事業用資産に対する税金についても納税資金を工面しておく必要があります。これらは顧問の税理士先生と相談しながら計画しておく必要があります。

これらが確認できた段階で、まずは後継者に承継する資産と負債(連帯保証債務含む)を説明し、理解を得ておく必要があります。
特に負債については、後になって「こんなはずじゃなかった」と後継者が後悔することのないように入念な説明を要します。
その後に家族会議を開催し、ご家族に対して

  • ・会社に関係する個人資産は後継者に引継ぐこと
  • ・その他については税理士先生との相談結果

を説明して、事前に理解を得ておく必要があります。

これらを計画的に行う場合、遺言書を作成しておくことや家族信託を活用しておくことも視野に入れて検討いただくことで、より確実な事業承継にしていただくことお勧めいたします。