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事業承継における4つの要素と7つの視点
①中小企業の後継者候補の有無と資質

①はじめに

「誰に会社の経営権を引き継ぐか」
経営者にとって、自分の会社を次の世代に引き継ぐタイミングは遅かれ早かれ、いずれ訪れます。経営者が大切に育て上げた会社を誰に託すのが一番良いのでしょうか。
事業承継を行っていくにあたって、最大のポイントは「後継者を決めること」にあります。

②事業を続けない場合

後継者が見つからず、事業を続けない場合は「廃業」して保有資産の売却や負債の支払いなどを行います。残金が株主に配当されるのが「廃業」です。

2020年の中小企業白書によると、休廃業・解散している企業数は横ばいで2019年はおよそ4万3千件もの企業か休廃業または解散しています。このうち、黒字企業は6割を超えており、事業継続性が見込まれる企業の休廃業が見受けられます。

図1:2019年の休廃業・解散件数の推移

出典:2020年度中小企業白書概要より

廃業理由として良く挙がるのは経営者の高齢化や体力の低下ですが、次のような理由もあります。

①業種の将来性に不安があり廃業

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、業種ごとに明暗が大きく分かれています。インバウンドや飲食業はもちろんですが、三密対策が難しい製造業や建設業、小売業には特に影響が大きくあります。このような業種を経営されてらっしゃる方は将来性がないと判断し、廃業されるケースがあります。

しかし、事業継続を望まれる場合は、差別化や新事業展開などにより将来性を見出すことも可能なものです。弊社では第二本業化やDXのご支援も行っておりますゆえ、廃業を決める前に一度ご相談していただくことをお勧め致します。

②後継者がいない・育成時間がなく廃業

後継者候補がそもそもいらっしゃらなかったり、いざ打診すると経営者保証の問題で拒否されたり、と承継を見据えたタイミングで打つ手立てが無くなる企業もあります。

この問題を回避するにはなるべく早い段階から後継者探しや育成を行うことが重要になってきます。事業承継税制の特例措置や事業承継特別保証制度など後継者の負担を軽くする制度が今は出ています。あらかじめ各制度の要件の確認が必要です。さらに、後継者には資金調達の手法といった経営者に必要なスキルを早くから伝達しなければスムーズな承継は難しいでしょう。

③事業承継を終えられず廃業

親族内承継、従業員への承継、M&A、いずれも完了までに長い時間を要します。加えて、会社の規模等に応じて承継スキームも異なります。経営者お一人で全て対応するのはかなり負担があります。

承継し事業継続を希望される方は、早いうちにコンサルタントへ相談しておくと安心です。

以上がオーソドックスな廃業ケースになります。一方で、事業を続けたい場合、後継者を見つけることが大前提になってまいります。

③事業を続けたい場合

経営者の意識の中で一番の候補に考えやすいのは親族内に対する承継でしょう、たとえば「来月から息子に会社を引継ぎ、息子が社長に就任します」と一言いえば取引先や従業員、会社関係者の方々は、世代交代と捉え納得されるのが一般的です。図3では減少傾向にあるものの近年の親族内承継割合は依然高く34.4%となっています。

次に考えられるのは、役員・従業員に対する承継です。ご子息がいない等いわゆる「番頭さん」の役割を長年担ってきた方であれば、実力と信頼を兼ね備えていることで周囲の納得を得ることができるでしょう。図3ではこれが増加傾向にあり、26.4%となっています。

近年においては、後継者が不在の場合、もしくは他社の資本力を得てさらに会社を成長させたい場合、第三者に対する承継も39.3%と増えてきています。

 

では、親族、番頭がいるからといって事業承継ができるかというと、それほど単純ではありません。後継者が会社の次の経営者となっていくためには、現在の経営者が後継者の経営者たる資質を見極めつつ、後継者に対してある“仕掛け”をしておく必要があるのです。

ここでいう経営者が”後継者を決める”のに判断する最重要ポイントは、「後継者が経営者になる覚悟があるか」ということが経営者から見て客観的に判断できるかです。この”覚悟”を経営者がどう判断するかは、後継者として考える人物の今までの発言や行動を具体的に思い出してみましょう。

 

発言や行動の節々に、自分は経営者になるのだといった覚悟が見えるでしょうか。
私たちもよく経営者の方々から、自分の子が後継者向いているのかと相談を受けることが多くあります。

 

後継者候補がいくら数字に強かったり、従業員の評判が良かったりしたとしても、根本的な心構えが出来ていなくては、経営を継続していくことは困難だといえます。
もちろん、経営者にとって必要な知識・知恵は身に着ける必要がありますが、その原動力になりえる覚悟を先に持っておく必要があり、テクニカル的なものは後からついてくるものです。

 

また、経営者の考える後継者候補がこのような”覚悟”がまだ不十分であった場合は、その気になっていただく仕掛けが必要となります。本人に後継者候補としていることを伝えるのも一つです。また何かプロジェクトを担当させ、成功体験をさせるのも一つであり、後継者候補の状況から、どう”はしご”をかけていくかを検討する必要があります。

 

「後継者を決めること」をぜひ私たちにもお聞かせください。後継者としての選び方をお手伝いさせていただきます。