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事業承継における4つの要素と7つの視点
⑥親族の状況

⑥親族の状況

多くの中小企業の場合、事業承継は社長一人の問題ではないことが多いです。ほとんどの社長が、家族と過ごす時間以上に会社に人生をかけてきたと思います。
そのためよくあるのが、自分がいなくなったとしても、家族には不自由のない生活ができるように、子息に株式を分散させるというようなケースです。
株式を分散させることほど、企業経営に大きな影響を及ぼすことは、冷静に考えればわかることなのですが、なかなか自身の問題となると、冷静に考えることができる経営者は少ないものです。

また、時には社長が急に体調を崩し、何も準備されないまま家族が取り残されてしまうケースもあります。その場合、稀に発生するのが遺産相続トラブルです。「自社株の価値が思っていた以上に高く、相続税を支払うことができない・・・」、「自社株を子息に平等に相続させたら、後継者候補に他の子息から自社株の買い取り請求があった・・・」などと言ったことはよく起こっている問題で、決して他人事ではありません。

「自分の家族は仲がいいから大丈夫」と思っている社長ほど、実は入念にこの親族の問題には対処をしておくべきです。前述しているように、社長自身は家族と過ごす時間以上に会社のために時間を費やしていることが多いのですから、実は社長自身が思っている以上に、家族のことを理解されていることは少ないものです。それでは、一体どうしたらいいのでしょうか?

家族のことを理解する、また、家族に自身の考えを理解してもらうためには、よりしっかりと時間をかけてコミュニケーションを取ること以外、解決の方法はありません。

仮に、「遺言で自分の意思をしっかりと書いているから大丈夫」と思われていたとしても、それでは不十分です。社長自身の想いを家族に伝え、そして理解してもらうために、意識的に行動しなければなりません。

そのためにお勧めしていることが「家族会議」の実施です。家族会議と聞くと、「そんな大げさなことしなくても・・・」とお思いになられる社長もいるかもしれません。しかし、会社でも会議を行うように、きちんと目的を持って家族と向き合わなければ、決して社長の想いは家族には伝わりません。社長が描く事業承継を実現するためにも、社長の想いを家族会議を通じてしっかりと理解してもらい、社長の意思を家族に引き継いでもらうことが、社長が描く事業承継を実現するためには必要不可欠なのです。

しかし、よく家族会議の話をすると「なかなか家族でそのような話は切り出しにくいんだよね」というお声も頂きます。確かにこのように感じられる社長も少なくないのですが、そのときは、社長の想いを理解している第三者に協力してもらいながら、家族会議を開催することをお勧めします。親と子どもの関係は非常に近いため、社長が話すことは素直に聞きにくいことも、意外と第三者が社長の意思を伝えることで、子息が素直に理解をしてくれることも少なくありません。

もし、スムーズな事業承継の実現に向けて、まだ家族に何も自身の想いを伝えていないという場合は、まずは家族と一緒に過ごす時間を作ることから始めてみましょう。そして、家族としっかりと話す準備を整えたら、事業承継を目的とした「家族会議」の開催を行い、社長の想いを家族に伝える、理解してもらえるように行動していきましょう。